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生きて死ぬ私

人生のすべては物質の固まりである脳の中の現象にすぎない。はたして脳とは意識=私にとっての牢獄なのか。それとも…。脳と心を結び付けるクオリアに、究極の答えが潜んでいる。科学では解き得ぬ謎に気鋭の脳学者が挑む。


大好きな「プロフェッショナル 仕事の流儀」の司会者である茂木さん。
NHKのスタジオパークにゲスト出演していた時の「クオリア」という言葉にいたく惹かれて購入しました。

「クオリア」というのは五感を使って感じた「その場のリアリティー」というか、「その場面の豊かな感触」というか、うーん、説明が難しい。
夏のよく晴れた午後に、照りつける太陽の下で食べたアイスの味や食感や、氷を噛み締めた時に頭に響く音や、同時に背中を流れた汗とか、そういった場面での記憶の質感のことをいうらしい。
でもそれらの感触はもとよりその感触をもたらした現象(上の例なら太陽の日差しが肌を焼く感覚、アイスの冷たさや外見、音、周りの世界中が)はすべて「私」の脳の中で認識されただけ、とのこと。脳は認識の限界に囚われているのか。脳のニューロンが発火するだけで、どうして「こころ」が生まれるのか。
第一章を読みながら、何となく昔読んだ「BRAIN VALLEY」の臨死体験や超常現象を思い出したり、シズル感や五感での(官能)描写に拘る飛浩隆さんの著作を思い出したり。

少し前に書いた創作の中で、こう書いたことがある。
『人間は死ぬ。肉体は朽ちる。魂は昇華する。それなら、記憶は?』
創作の中では記憶は菓子になったけれど、現実には記憶の持ち主が失われたと同時に記憶も失われる。しかしその「記憶」を蓄えていた脳を構成する分子は、めぐりめぐってまた持ち主とは関係のないところで存在しているのかもしれない。
そうすると、「わたし」という肉体は、記憶を蓄えておく容器なのか。「記憶」が「わたし」なのか「こころ」が「わたし」なのか。

第二章では存在と時間と、「わたし」と歴史との言及。「わたし」の一時間と、恐竜の一時間。どれもこれも目新しく、いわれてみれば当たり前のことだけれど今更のように愕然とした。

第三章から少し難しくなってくる。「わたし」を取り巻く世界をどのように捉えるのか。夢と現実、どちらも脳でニューロンが発火してるだけなのに、その差異はどこにあるのか。
「パプリカ」「七瀬シリーズ」「夢みる檻」(やはり脳は檻であるのか?)を思い出す。私と私を取り巻く人たちの可能性と、膨大な捨てられた可能性の膨大さに目を回した。言われてみれば「確かにそうだ。当たり前」なことだけれど、言われなければあえて気にすることもなかった。何だか得した気分。

茂木さんの過去の話や既存の哲学や音楽など先人の知識を交え、丁寧に世界を解説してくれた本。とても面白かったです。
皺が増えたかなあ。

哲学書(というほど重いものではないけれど)を読んで楽しいのは、物事の新しい見方を教えてくれること。それが思いがけないものであればあるほど新鮮で、心に残る。
哲学書に限らず、新しいこと、ワクワクすることを求めて本を読んでいるのだ。
また少し時間を置いて、他の著作も読んでみよう。
「心は脳に還元できない」

「反証可能性」
【2006.08.06】 そのほか
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